宮島・地御前地区で、永くかぶせ釣りした釣り人の説明


廿日市市の釣りキチで、漁師が使ってた喫水が低い船を所有し、宮島周辺の
牡蠣筏に係留し、冬・春はかぶせ釣りを行っています。

(係留港はリタイア老人が多く、餌、撒き餌は空筏のブイから採取するので、コスト上かぶせをする人が多いのです。)
@チヌは音に敏感なので、撒き餌をつぶすのは、牡蠣つぶし器を使えとか、餌の穴あけは
手のひらに載せてとか書いていますが、私の場合、木箱の底に薄い石の板を敷き、木槌で叩いて割ります。
勿論、かなり音(船底)がします。餌穴あけも牡蠣開け具で音が出ます。
大体浅い場所で、13〜15mで釣りますが、音を出すと釣れないという実感は「全くありません。」
隣の筏で、防音仕様で釣ってる人(大体入門偏の人)もよく見かけますが、音等より、他の要素の方が、
はるかに釣果を左右するように思います。
私の知るかぶせ釣りに良く釣行する人で、牡蠣つぶし器を使っている人は、皆無です。

A釣果を左右する第一要素は、場所の選定です。
良く釣れている筏に行くとほぼ間違いなく釣れます。
同じ筏に連日、少なくとも隔日に行き続けると、入れ食い状態になることが多いです。
但し、同じ筏でも、潮の流れ(大体満ち止まり又は引き止まり前後が良いように思う)の方向が大事です。

B新たな筏を探すときは、牡蠣屋さんが牡蠣を揚げつつある筏が良いです。
大体一つの筏が空になるまでに1〜2週間掛けています。
牡蠣を揚げつつある筏(筏の一部が跳ね上がっている+最近揚げた筏は浮いた竹に湿った青海苔が付いている)で、
撒き餌をして一旦釣れたら、その筏の牡蠣がすべて揚げられるまで、同じ筏で釣ります。
その場合、私の「主観」ですが、撒き餌をつぶす音も撒き餌同様、アイナメ、チヌを集魚するように実感します。

C場所の次に大事なのは撒き餌です。
初めて行く筏では、かなり(バケツ1/3位)粗砂を混ぜて撒きます。
釣れ出したら、片手でつかむ程度を、30分おき位に撒きます。
釣れ出してから砂だけ撒くと河豚やタナゴが集まる様に思います。

D次に数釣りで大事な事は、手返しを良くすることです。
仕掛け(2本針)の予備を沢山作っておき、道糸にスナップ付きサルカンをつけて簡単に着脱できるようにする。
道糸は3号、ハリスはフロロカーボン3号で、よほど大きなチヌ以外は、タモを使わず、抜き揚げます。
風の強い日は、もつれ対策で洗面器の底に少し水を入れ、道糸をその中に落とします。
チヌの大きいのは、竿では誘導し難く、牡蠣筏に引きこまれるので、私は手釣り+ゴム管です。
特に、食いが立って入れ食い状態になった時、かなり上(底から30cm以上)で食いだすので、
ゴム管で底まで後どの位かわかるので、1m上位から、糸を張りながら餌を落としますが、
竿では難しいです。
私見ですが、
かぶせ釣りは馴れたら、メバルより簡単で、若い人(と言っても50代)が、舷側が高い事と、
ゴム管での釣りになれていないため、竿(かぶせ用の1.2mの細身)で釣っていますが、
今までかぶせ釣りの経験が無くても、今、一番良く釣っています。

若いので撒き餌と餌を取る体力と、連日出られる事が、原因(・・とやっかみ半分で)と、仲間はからかっています。
連日出る事が、餌つけ上一番効果があるからです。
かぶせ釣りは特に難しいとか、何年も経験が要るとか言う人がいますが、まったく大げさです。

1、牡蠣養殖、牡蠣筏と遊魚釣り対象魚の関係。
@日本海や東京湾などでも釣りを少ししましたし、釣りの番組(BS釣りの旅など)や本も見ますが、広島湾では、
幾つかの魚は、他地方と習性(食性)がまったくといっていいほど違い、当然、釣り方も違っています。
その典型が「かぶせ釣り」ですね。
A違いの主因は「養殖牡蠣筏」の存在ですね。
 牡蠣筏に大きく影響されていると思われる魚を列記すると下記となるでしょうか。
  チヌ、アイナメ、メバル、アナゴ、鯵、サバ、ハゲ、小鰯(カタクチイワシ)、タナゴ
B完全に牡蠣筏に居付く事のある魚は、チヌ、アイナメ、アナゴ、メバル、ハゲ、タナゴ等で、
他は回遊時に、牡蠣筏が隠れ場か、牡蠣から出る餌を食べるため、何らかの食性の変化
(筏のないところの同種と比べ)があると思われます。
従って、釣り方が、かなり異なることになります。
中でも、もっとも食性が違っているのが、チヌ、アイナメと思います。

2.牡蠣筏とチヌの関係
@牡蠣筏に居付いているチヌは、主に「牡蠣」を食べています。
(勿論、牡蠣に付いている環虫類やエビ、蟹も食べていると思われます。)
他地域は知りませんが、当地区の牡蠣養殖業者は、「チヌによる、食害被害」が、かなり大きいと言っています。
筏の回りに、ネットを張る業者も居ますし、被害を小さくするため、一時期、牡蠣弦を中央に密集させる事もあります。
最初チヌが牡蠣を食べる(殻に食いついて)という話を、業者から聞き「ほんまかいね?」と思いましたが、
「殻の端に食いついて身体をねじって、殻を壊して食べる」そうです。牡蠣弦は約10mあります。
従って、通常状態では、水面から10mくらいの所までの牡蠣弦の間に、チヌは居ると思われます。
(漁業調整規則違反の水中銃使用者もそう言っています)
水深12〜15m位の海域での、かぶせ釣りで「粗砂」を撒くのは、このチヌを海底に誘うためと言う説を
私は実感します。

 牡蠣を引き揚げる時、牡蠣はかなり落ちこぼれるようです。
それを防ぐため、筏の外側から巨大なネット(タモですね)を揚げる牡蠣の下に受け皿する業者も居ます。
 これは大規模な撒き餌をしている(殻が壊れていなくてもチヌは食べれる!)、チヌを海底に降ろす働きがある筈です。
 撒き餌は筏から遠く離れた所に居るチヌをおびき寄せているのではなく、牡蠣(垂直方向に10m)の間に居るのを
海底に誘う役割が大きいと思われます。
 筏に接舷する時かぶせでは、必ず潮上に着けるのもこのためだと考えられます。(深い水深にある筏は別)
 牡蠣を揚げつつある筏や、撒き餌を連日行なっている筏のチヌは、海底に降りて食べる習慣が出来て、
まるで池の鯉のような状態になるのではないでしょうか。?
 この場合は、粗砂を撒く必要はないと思われます。我田引水ですが、牡蠣をつぶす音も、撒き餌が落ちてくるぞーと
言うパブロフ理論の条件反射があるのではないかと(少々いんちきくさい私の学説ですが)、私は思っています。
Aアイナメは、如何に見ても、牡蠣殻を割る力はないように思います。
しかし、釣ったアイナメは撒餌と思われる牡蠣の身を沢山吐き出しますし、アナゴも、同様です。
 どうやって身を食べるのか解りません。
ただ言えることは、撒き餌にする牡蠣は、チヌもアイナメも、アナゴ(かご漁)も、粉々にせず、極端に言えば、
少し割れ目が入った程度で良いし、潮の流れ、雑魚対策、撒き餌が永持ち等の効果があると思います。
Bチヌは大変用心深く、昼は釣り難い魚ですが、かぶせで釣ると、少々の糸の太さや、音に関係なく釣れるのは、
この食性から「自然の餌」と思い込むところにあると思います。

2.チヌのかぶせ釣り雑記
@11月から3月末までのかぶせ釣りの最大の障害は「なまこ漕ぎ漁」です。
折角釣れている筏も、なまこ引きをやられると、「ぱったり釣れなくなります」。
 推定ですが海底にいたチヌが、上に上がったのではないかと思われます。
その意味では、チヌは音を怖れる(海底を引きずる)のでしょう。
 それで、知恵者が居て、普通筏の長辺に接舷するのですが、なまこシーズンだけは、筏と筏の間(短辺)に
係船し(ワイアー側)、釣ります。又は、牡蠣を揚げかけて居る筏に乗って、釣る人も居ます。
(この場合、竿釣り)釣果がまったく違います。
 私の船は、この短辺側に入れない(大きい)ので、4月(なまこ漕ぎ終了)からが、本番です。
A当方年金生活で、毎日でも釣行できるので、My筏を作る(撒き餌で)ため連日か隔日に通います。
(釣行できない時は仲間に場所をお互い教えあい、少なくとも3〜4日以上、日にちが空かないようにします。
業者は一度に牡蠣を全部揚げることはなく、少しずつ揚げていくので、永くて2週間位で空筏になる迄釣れます。
4〜5回目位になると、入れ食い状態になる確率がきわめて高いです。
こうなると糸の太さも、当たりの微妙さも関係なく、飲み込んで、糸巻きを引きずるケースさえ出てきます。
ただこの場合食いが立ちすぎて、海底着地前に、餌を吸い込むので、海底近くになったら糸を張りながら落とします。
竿釣りではスピニングの、道糸止めに海底着地時の糸の位置で、道糸を挟んでおき(竿一本分位余分な長さに)、
餌から海底迄の位置が解るようにして、張りながら落とすそうです。
B経験では、一つの筏には、アイナメの数は限定されている様に思います。
通算10匹くらい釣ると、後はチヌばかりになるように思います。
C餌、撒き餌の牡蠣のため、自製の牡蠣採り網を作ります。(別注で作ると高いので)
 ホームセンターで、「西洋レーキ(熊手の大きなの)」を買って来て(安い)、懐を長くするよう切断、
丈を長く継ぎ足して熔接(鉄工所で1000円位で電気熔接、)してもらいます。
網はゴルフネットで作ります。
牡蠣は、揚げかかった牡蠣筏の発砲スチロールブイの側面、下部に付いています。(瀬戸貝でも良い)
 沢山取れた時は、ゴルフネットで、大きな「びく」を作り、船の舷側に水面すれすれにぶら下げておきます。
真夏でなければ、何ヶ月も生きています。
 瀬戸貝でも、かぶせは出来ます。特に「大鯛」釣りは瀬戸貝の方が良いそうです。
(流れの速いところが多いので、粗砂を貝の中に入れたり、「パチンコ玉」を入れる人も居ます。
中通し錘を使う人も居ます。(大奈佐美の南端筏など)。
追伸 大事なことを忘れていました。
最後の大鯛以外は、今まで書いた話は、海底までの水深がせいぜい20m位以内の筏の話です。
25m以上もある所では、話はまったく違ってきます。
直線上に配置