カキ筏に船を着け、ゴム管とかミチイトのみで当たりを取る、広島元祖のカキのかぶせ釣りを、
最近は柔らかい筏のチヌ竿で、真冬にチヌを釣っているのをテレビの釣り番組で見て、興味が湧き
かぶせ釣りを経験しました。
撒き餌用にカキを潰すカキ潰しも、(大きい食べ頃のカキを撒き餌に、小さいカキを刺し餌にします)
殻に割れ目を入れるカキ打ちも自分で用意する事が必要でした。
カキを潰す道具は、金槌の頭の部分を削って尖らせ、カキ打ちにも加工しました。
厚手のナイフの刃を、カキ殻に打ち付けても割れます。
金槌でカキを潰すあらましい
(荒っぽい)方法だと、叩く音が海中に伝わり、魚に警戒されるので、
カキ潰しは借りました。
竿は経済的な理由と、特別な道具を購入しないで釣る事が出来ないかと考え、最初は筏のチヌ竿を
使用しませんでした。(筏のチヌ竿を購入しなくても、当たりは取れます)
それで、なるべく柔らかく、そして短くの条件で竿の保管場所を捜し、予備も含めて3mのチヌ竿と、
船のメバル竿を使用しました。
(筏上から釣る場合、2m程度のチヌ竿と両軸受けリールが一般的ですが、竿が長い方が釣れた魚がカキづる入り難いですし、
魚の引きにも柔軟に対処できます。欠点は視力が悪いと竿先が見え難い事と、当たりを合わせるのが難しくなります。
潮の動きが悪い時は、魚が潮の流れに逆らってでもカキづるに入るので、竿が長い方が良いと思います。)
リールも2号ミチイトを巻いてメバル釣りに使っていた700番のスピニングリールを用いました。
2号ミチイトだと、少しの傷でチヌの引きでしたら簡単に切れるので、ミチイトの傷には細心の注意が
必要ですが、潮流の影響を受け難く、ミチイトがふけ
(弛み)難いので、水深20m以上では
効果がありました。
ふけるは釣り用語で、ふかせ釣りも有ります。餌を自然の状態で海中を漂わせて釣る方法。
仕掛けとか道具は、かぶせ釣りのページをご覧下さい。

初めての経験では、4月28日に湾内の水深10mの場所を選びました。
(現在は水深25mでも大丈夫ですが、刺し餌が着底するまでに神経をすり減らしています)
まずコンパネを潮が流れ去る方側のカキ筏の端に敷きました。
あまり沈んだカキ筏の場合は、船の波でコンパネが突き上げられるので
避けた方が無難です。
私のかぶせ釣りのページを思い浮かべ、刺し餌に向かないカキを潰し、
筏の前方に固めて落としました。殻をグシュッと潰した程度で良いと思います。
これは撒き餌になります。粗めの砂に混ぜる場合もあります。
(漁師さんは、網代に到着すると瀬戸貝とかを2kg程度潰し、玉網に入れ海面上に降ろし、
ザバッと言う感じで撒いていました。それを見て、最初に十分撒き餌をするようにしました。)
撒き餌で魚を狂った状態にする事と、最初の一匹を逃がさない事が
大漁のコツだそうです。(竿出しを焦らず、一時間は撒き餌をするそうです。)
カキ潰しが無い場合は金槌で割る方法が一般的ですが、工夫して道具を
考案する事も釣りの楽しみです。
実際使用して感じた事は、カキを置く受け皿の部分が長くないと取っ手を
押さえると回りました。又、取っ手が短いと押してもカキが砕けませんでした。
だから、本体を左足で踏んで右手で取っ手を強く押します。
かぶせ釣りの刺し餌用にカキ打ちに加工 刺し餌用にカキの丸みのある部分を下にして、平たい部分のカキの根本から
ハリを刺せる程度に、身が取り出せる部分を、カキ打ちで割ります。
大きいカキだと1/3程度ですが、小さいと1/2程度の部分になります。
平たい部分の蓋を全部取り除き、わたの部分にハリを刺してどこを食べるか
実験しましたら、ハリのある柔らかいわたの部分を最初に食べました。

ハリが刺しにくいのに、無理して小さく割る必要はありません。
平たい部分を割る理由は、カキを水中に落とした場合、丸くなっている部分が
水の抵抗が少ないので下になるからだと思います。
金槌をカキ打ちに加工しました。
反対側はカキを叩き潰せます。
ゴツンではなくカッカッと打てる
軽いのが打ち易いです。
刺し餌用カキは、殻長8cm程度の厚みのあるのが良いと思います。
魚が逃げるので、なるべく振動が筏に伝わらない方法で割って下さい。
漁師は掌でカキを包み、カキ打ちで割ります。(チヌは嗅覚と聴覚が発達しています)
道○井さんは、音には特に注意しています。歩きもしないし声も発しないと言います。
それは、大きいチヌほど音に敏感なからです。でも、ビールが好きな道○井さんは、
生理現象では立ち上がり、堂々とやっています。(*^m^*)
30年近く、かぶせ釣り経験の釣り人の、音に対する説明は異なります。

(撒き餌に狂った状態になれば、そうでしょうね)
カキ打ちを打ち込む度に、割れた隙間から液が飛び出してきます。
なるべくカキを体から遠ざけて打っていますが、服と顔に液は飛んできます。
注意する事は、打ち込みの勢い余って、ワタの部分に傷を付けない事です。
ハリを埋め込んだ身が、少しの抵抗で傷の部分から割れ、ハリが外れます。
私の場合は、桜の咲く頃からは一度食いだすと連続して釣れるので、
割れ目を入れたカキを、最初から5個以上用意しておきます。
私の場合、桜の咲く時期以後はハリスは2号の儘ですが、ミチイトは
少しの傷でチヌにぶち切られるので3号にします。
収穫された儘のカキの殻はカミソリの刃の様に鋭いので、カキを掴む左手は
手袋を使用した方が安全です。
開いた穴からカキ打ちで身を持ち上げて、裏側に身を抱くようにハリを左右に
埋め込み、身を殻の中に戻します。厚みのあるカキが、絹豆腐のように柔らかい
ワタの部分が大きいので、ハリを埋め込みやすいです。
ワタの色は白色のが食いが良いです。希に、水っぽい透けたワタがあります。
埋め込んだハリ先が出る場合もありますが、ハリ先を出して水深20mで実験した
結果は、チヌもアイナメも、ハリ先を怖れて食べないと言う事はありませんでした。
チヌは音に敏感で嗅覚が発達していますが、目は色盲だとされています。
しかも海底は、光の届きにくい世界です。神経質に考えなくても良いと思います。
ハリ先を隠していても、潮流でカキが引かれ、ハリ先が出ている可能性もあります。
ハリス2号25cmでハリは丸せいご15号とかチヌバリ5号の二本バリを用いました。
ハリス1.7号か2号でチヌバリの4号か5号が一般的ですが、私はチヌバリ
5号が使い易いです。身にハリを埋め込む時、4号だと曲がりが小さいので身に
深く刺し難く、無理をすると身が切れたり割れました。
ミチイトを引き出しカキを水面に落とした時、ミチイトが余裕の有る状態にし、刺し餌を海底に送り届けます。
そうしないと、刺し餌を水面に落とした時点で、ミチイトに引っ張られカキの身が切れ、ハリが外れます。
刺し餌と共に、同じ大きさ程度に潰した撒き餌を撒くと、同じ場所に落ち、効果的です。
刺し餌が海底に到着した事は、曲がっていた竿先が戻り、ミチイトが出なくなるので分かります。
そこでベイルを戻します。注意することは、ミチイトがラインガイドに掛かっている事を確認して下さい。
掛かってない場合は、当たりに合わせてもベイルが起きて、ミチイトが出てハリが魚の口に刺さりません。
食いが立った場合の対処方法は、後ほど述べています。
竿先をそ〜と持ち上げ、竿先の曲がりで餌が付いている事を確認します。
その状態で魚が吸い込むのを竿先を見て待ちます。
カキ筏は、船が通った時など大きく波で揺れるので、揺れを吸収できる
柔らかさの竿を用いるか、カキ筏の揺れに合わせ、手で竿先を調整します。
ハリがカキの身を引っ張るので、海底では身が引き出された状態になります。
時々、撒き餌を追加します。
二本竿で釣っている人は、竿先への注意が疎かになり、釣れないと思います。
それ程、繊細な釣りです。時々、餌を海底からゆっくり持ち上げ下ろします。
魚を誘う動作でもあります。10分も当たりが無い場合は、餌を取り替えます。
新しい餌を、別の場所に降ろすと言う意味もあります。
かぶせ釣りの竿先の動き 竿先に変化が現れたら、大きく合わせます。竿先の変化は三秒間位です。
(チヌの場合、明確な当たりでは無く、食い上げる感じのフワフ〜ワと動く感じです。
揺らぎと表現します。水温が上がると、クイッとかピンの当たりも経験します。)
合わせないと餌は取られ、竿先は上がります。大物程、小さい当たりです。
これは、チヌは一度餌を吸い込んで、ハリと共に吐き出すからだと思います。
チヌが餌を吐き出すとカキの身は柔らかいのでハリは外れます。
実際は更に滑らかな動きです。
かぶせ釣りでは時々撒き餌をします 当たりが無いので、撒き餌用にカキを潰していると、いきなり竿先が動き、
竿を掴む体勢で無いので、「
え〜・・今の嘘じゃろ〜( ̄□ ̄|||)」も経験します。
そう言う経験で、竿先を見ながら竿を掴める体勢で、カキを潰します。
釣れると、立ち上がり竿を持った腕を伸ばし、魚の引きに体全体で対処します。
魚はカキづるに入り込もうと竿先をガクガクと曲げるので、胸は高鳴ります。
釣れた魚を取り込むと、少量の撒き餌をし、(ベテランは、海砂も同時に
撒いています。)ハリ先とハリスのチェックも行います。
(海砂は撒き餌に混ぜる場合と、海砂のみで撒く場合があります。ベテランに砂の効用を尋ねました。
撒き餌と共に撒くと、魚に目立つそうです。砂のみ撒くとだんだん釣れなくなります。
餌盗りの多い時、餌を砂で隠すのに用います。)

チェックを怠ると、ハリ掛かりが浅く途中で逃がしたり、ハリス切れで逃がします。
食いがたち、餌が海底に着くと同時に食べる場合は、スピニングリールの場合、確実に餌を取られました。
餌を盗った魚は続いて食べに来ます。
プアーな私の解決方法は、竿の上下動の回数を数えて、ベイルを起こしたままスプールのミチイトを押さえ、
餌が沈む速度で竿先を下げます。着底しない場合は、ミチイトを出しながら竿先を上げ、同様の操作をします。
(10m毎に色分けし、1m毎に線を入れたミチイトを使用すれば、着底の前に心構えが出来ますが^_^;)
刺し餌が着底すると、一瞬竿先が戻ります。そこで、竿先に力をかけながらベイルを戻します。
この時、魚が餌を吸い込んでいる事が多いので、竿先の動きに特に注意します。
リールのハンドルを回し、竿先を自分の好みの位置にします。
希に、大型真鯛が釣れる場合が有るので、ドラッグは調節しておくべきです。
ドラッグを調節して(弛めすぎない事)無いと、一気にハリスを切られます。
刺し餌を降ろす途中に、筏に付いているチヌが食べた場合、ミチイトが沈まなくなるか、急にシュルッと
出るので直ちに合わせます。合わせが遅れると筏に持ち込みます。
潮変わりになり、潮が筏に入り込む前に、コンパネを反対側に移動します。
空筏の場合は、釣れた魚が逃げ込むカキが無いので、移動しなくても釣れます。
かぶせ釣りで獲物をゲット 実戦で一番いたしい(難しい)のは、明確に出ない当たりに、合わせると
餌が外れるのに、大きく合わせなければ絶対と言う程、釣れない事です。
潮が流れ過ぎ、撒き餌が流れ去ったり、二枚潮でミチイトがS字に弛み、
刺し餌の位置と逆に撒き餌が流れ錯覚したり、釣れても底潮が筏方向に
流れているので、魚はカキづるに入り込みます。

私の二枚潮の対処方法は、餌を筏から離して投入します。
魚が筏に入り込もうとする場合は、筏を蹴って音を発し強引に引くと、
筏から出る場合もあります。竿を長いのに代える方法もあります。

潮が一方向に流れず回転し、筏が不規則に動き、ミチイトがカキに
掛かる事も経験します。
筏の先端にコンパネを敷くので、沈んでいる筏の場合は安全を考えたら、
敷かない方が無難です。ボートの波で、2m位コンパネ毎飛ばされて、
コンパネ上の荷物も海に落ちた経験があります。
乗っ込み時期の、チヌが海面近くに浮き上がっている場合も、
非常に釣れ難いです。雌を追って群れになっているので、カキの身を刺し餌に、
浮き釣りで釣れるのではと思いますが、ひたすら雌を追っかけ、
餌には見向きもしないでしょうか?
カキを潰した液と殻の粉が飛び散っているので、釣りの終了後、
海水でコンパネとカキ潰しと筏を洗って下さい。
カキを潰した液は臭いが強く、暖かくなると、海上でも小蠅が液を
ねぶりに
舐めに寄って来ます。
かぶせ釣りは同じ姿勢で竿先を見つめるので、神経をすり減らし、
腰も痛くなります。時々は立ち上がって、腰を動かす事も必要です。
  元祖かぶせ釣りは当たりをゴム管とかミチイトのみで取り、釣れると手で引き上げていました。
釣りは、この方法で無ければ釣れないと言う事は無いと考えています。
魚はどん欲です。餌があれば食いつきますが、基本の考え方です。
高価な道具を購入するよりも、自分で工夫して釣る事も必要と思います。
筏のチヌ竿を購入するのでしたら、安価な竿で十分です。
私は平成14年に税込3千円で購入しました。
既存の竿で苦労して釣っていたなら、魚の当たりが良く分かるので、目から鱗が剥げ落ちる
感じがするでしょう。
  投げ釣りの橋本さんの筏のチヌ竿の感想は、「どしたんなら、こりゃ〜魚が釣れたら折れるで〜」
ほんま、ブチ細〜おて、柔お〜て、ガイド穴は見えんし、ミチイトを通す時、竿先がビリビリ震えます。
  かぶせ釣りを表現するのに、牡蠣採り3年コブ8年と言う方もいますが、かぶせ釣りの知識を得た
方ならば、かぶせ釣り簡単、釣果に感激と表現します。
しかし現実は厳しく、竿先で魚の気配を感じる勘の鋭いアングラーでしか、かぶせ釣りでは釣れません。
カキ筏からのカキかぶせ釣りは、水深も8m〜25mとあるし、水深と流れの速さでカキの大小と
重さを選択しなければいけないし、筏は動くし、揺れるし、カキづるが下がっていて、大型の魚は
潮流に逆らってでもカキづるに入り込もうとします。釣れなくても筏上でしか移動できません。
当たりも無く、ひんなって
(カッカして)がやかいても(色々工夫しても・手間をかけても)釣れないと、
お魚と戦う以外に、ヤケ〜くる
(ヤケを起こす・自暴自棄になる)自分自身との戦いの場でもあります。
最後に、4月中旬位からチヌが筏の周囲に浮いている場合は釣れ難いので、チヌが浮いていない
場所を選ぶ事と、湾の奥とか岸の近くで、案外、大漁になる事も知識に入れて下さい。
両隣の筏で釣る場合、上手下手がはっきり現れます。腕に自信の無い方は離れて釣りましょう。
磯焼けの原因になったり、カキの殻の中に入り込む赤土と泥は、絶対に撒かないで下さい。
独断と偏見の私の広島弁講座
広島弁ではべろ(舌)で舐める事をねぶると、言います。
口と舌を使って吸い込む事(すする)を、すばぶると言います。すばぶるは、吸うとしゃぶるの合成でしょうか。
赤ちゃんが母親の乳首をチュバ・チュバとか、あら煮の骨の周囲に付いた柔らかい皮とか身、目玉の周りを
チュルッとすばぶります。すばぶるとしゃぶるは、私は明確に区別して喋ります。
カキ筏釣り入門

直線上に配置

竿を用いたかぶせ釣り