かぶせ釣り説明
カキかぶせ釣りの知識の有る方は
  私の友人の、広島のかぶせ(コマセ・撒き餌)釣りの経験豊富な久丸修三さんに、極意(ごくい)
教わりました。一番釣れるのは、瀬戸貝(長さ6cm以上)を用いたのを、お魚は好むそうです。
カキ筏が無くても防波堤とか魚の養殖筏とか真珠筏で、瀬戸貝(ムラサキイガイ)で釣れば
釣れると思いませんか。全国に広島のかぶせ釣りが広まる予感がします。
瀬戸貝を開き(合わせ目の毛の生えた部分を切り)身の固い部分ではなく、白い柔らかい
トロッとした部分にハリを左右に二本埋め込み、殻の中に粗め(あらめ)の砂を入れ、殻(から)を閉じ
殻をハリスとミチイトで柔らかめにグルグル巻きます。
巻き方は、着底
(ちゃくてい)したら潮流で瀬戸貝が回りながら解ける程度です。
刺し餌を海底に降ろす方法は、一旦底を取りミチイトを抵抗無く出せる状態にし、刺し餌が沈む
スピード以上にミチイトを送り出します。
ハリは、チヌバリのケン付きでひねりの入った7号を用います。
丸せいごの12号とかチヌバリ4号では身からハリが外れやすく、お魚が吸い込んでもハリ掛かり
し難いそうです。(通常、チヌバリの4号・5号を使用しています)
そして、ハリ先は特に注意し、時々はヤスリで研いで(といで)います。(通常、ハリを取り替えます)
お魚にとって、白い柔らかいトロッとした部分は大好物です。
我先に餌を吸い込むのでしょう二匹一度に釣れる場合も有ります。
真鯛・石鯛もヒットする事が有るそうです。

  私の経験では、5cm程度のイガイの殻をハサミで切り(殻は柔らかいので切れます)うっすら
黄色ぽいお腹の部分を起こし、裏側からハリを2本埋め込み戻し、殻付きカキと同じように
その状態で降ろしても釣れます。
ハリの埋め込みは、カキの場合よりお腹の部分の身が固いので簡単でした。
底取りは軽いので、その儘の状態では筏のチヌ竿で15m程度は可能ですが、砂を殻に入れれば
更に深く出来ると思います。刺し餌が軽いので、緩やかに流れる場所でないと釣りになりません。
小情島、水産試験場、アジワ島、杉の浦、包ケ浦、ガスタンク前、大原湾等で可能と思います。
 
 
かぶせ釣り
      かぶせ釣りの釣り人
 2本の竹竿を利用してカキ筏から
一定の距離で船を止めています。
潮流はカキ筏方向に流れています。
   かぶせ釣りは通常、殻付きカキで釣ります。え〜、殻付きカキで釣る〜(☆o☆)と、思う筈です。
店で販売している高価な殻付きカキとは品質は異なります。カキの身のみで釣る方法もあります。
(カキを購入しない場合は、フロートに付いているカキをこさげ落としたり、この場合、瀬戸貝・フジツボの
撒き餌も同時に採れます。
カキ打ち場のカキ殻捨て場で小さいカキを拾ったり、橋の基礎部分に付いているのを採っている様です。)
カキの殻の平たい部分の根本から長さの1/3程度の所をカキ打ちで穴を開け、殻を除き
開けた穴から身を持ち上げます。(カキの形によって半分程度の場合もあります)
その身に、ハリス2号の2本バリ(丸せいごとかチヌバリ)を、抱くように左右から埋め込み、殻に戻します。
割れ目が小さいと、魚が強く吸い込むので、小さく割ると言う人もいますが、私はハリの埋め込み
作業がし易いので、大きく割っています。
   
 カキの根本から、身を取り出せる程度の場所をカキ打ちで砕き、身を取り出します。
(カキの平たい部分をカキ打ちで割ります)
身を起こし、ハリを左右に埋め込み、身を元に戻します
  手釣りで釣る場合は、サルカンを使用せずハリス1.5号で一本バリの直結で使用する場合もあります。
ミチイトは、籐枠に巻きます。
 ゴム管  籐枠  
 ゴム菅   籐枠  
 かぶせ釣り
ゴム管10cmで当たりを取る
ゴム管の中空の部分にミチイトを通し、
ゴム管を人差し指・中指・薬指に置き親指で
押さえ、柔らかいゴム管の曲がりで
当たりを取ります。
 16号サルカン、ハリス2号、5号チヌバリ
 サルカンを使用しない方法も有ります。
 サルカンの微々たる重さも考慮した、かぶせ釣りならではの仕掛けと思います。
食いの渋いときに、特に効果があるように感じます。
 かぶせ釣り仕掛け  
 八の字、ブラッドノットの説明  私はハリスの両端にハリを結び、中央で折り
撚って八の字結びして、ミチイトを輪に結んでいます。
 工夫したカキ潰し  カキ打ち  カキ潰し(撒き餌用にカキを潰す道具です)
 カキは籠で購入します
一籠で一人分です
 カキ打ち  カキ潰し(仮称)
カキを潰す道具を各自工夫して作成しています。
取っ手を長くし、木製の台を付けた作品です。
潮の流れが緩いときには殻を細かく砕き、速いと軽く
砕きます。撒き餌用に使用しますが、かぶせ釣りの
餌用にもカキ打ちと併用し、用いる場合もあります。
材料は、ステンレス製が多いです。
   カキ殻の合わせ目に打ち込み、あいた穴から
差し込み、貝柱を切り蓋を開け、身を取り出します。
材料は鋼製で鳥のクチバシに似ています。
先端は平たい刃になっています。
土を耕す事も、鍬でうつと言います。
   屑カキ(くずかき)か瀬戸貝をつぶし、目の粗い海砂と混ぜて撒きながら、最初5〜6回ハリを
埋め込んだ殻付きカキを底に降ろし、わざとハリを外し撒き餌にします。
そこに再びハリを装着した殻付きのカキを降ろし、ゴム管で微妙な当たりを取ります。
(非漁民等の撒き餌を用いた釣りは、広島県漁業調整規則第48条で禁止されています。
平成19年10月1日から一部の場所を除いて、陸からの撒き餌釣りが可能になりました。
軽いので、底を取るのが難しく、水深とか潮流によっては殻の中に砂を入れる場合もあります。
底に到着した事は、少しイトを引いて見るとゴム管が曲がるので分かります。
 
当たりが無い場合は、わざとイトを引きハリを餌から外し、更に撒き餌にします。
2〜3回それを行っても当たりが無い場合は、場所を替わります。
お魚がいる場合、必ず当たります。
  餌が自然に近い状態ですので、お魚には警戒心を抱かせません。
特にチヌ・ポン級アイナメには、抜群の威力を発揮します。
 
当たりは、アイナメの場合、最初ゴム管がフワ・フワと動き、続いてビン・ビン・ビンと連続に
当たります。そこで合わせます。
カレイの場合は、ピーン・ピーン・ピーンと当たるので3回目のピーンで合わせます。
チヌの場合は、ピンと来て二度目のピンで合わせます。チヌの場合は難しく、食い上がるのか、
一瞬イトがフワッと弛む
(ゆるむ)場合が有ります。その場合は素早く合わせます。

  錘が付いてないのでイトがふけているので、魚のカキの身を吸い込む時の微妙な当たりが
有った場合、右手で引いて更に左手で引く様に、大きく合わせます。
当たりを見逃すと、確実に餌を取られています。合わせ損なっても、餌を取られる真剣勝負な釣りです。
 
食いがたった場合、釣り上げたら撒き餌は撒かず、カキ打ち場で拾ったカキ殻を細かく砕き、
砂と混ぜ、まず一杯撒き、お魚をハリから外します。
釣れる度、一杯づつ撒きます。理由は、カキ殻が海底にキラキラ光って落下し、カキ殻には臭いが
付いているので、お魚の興味を引き、集まったお魚を留めておくためです。
高価な、又は採取に何時間も要した撒き餌を撒き続けると、お魚のお腹が太り、餌を食べなくなります。
(これは久丸さんの考えです。私が実際経験してみて、撒き餌は常時少しずつでも撒いた方が良いと
思いました。)
アイナメ・カレイの場合、お腹一杯に食べて更に口に含んでいるのか、釣れると口からカキの身を
吐き出します。又は、魚の浮き袋が膨らむので、胃を圧迫して内容物を押し出しているのかも。
 
釣りが終わると、釣り終えた場所と、実績のある釣り場二カ所程度訪れ、撒き餌をします。
そうやって、釣り場を大切にしますが、釣れた場所は見られていて、次回行くと必ず他の船が釣っています。
自分で網代
(あじろ)(魚の集まる場所)を造った筏以外に、カキを収穫した後の筏も、カキ殻に付いていた
生物が海底に落ち、それらを食べに魚が集まっているので好ポイントです。

 
最近は、筏の先端にコンパネを2枚を敷いて、2m程度の筏のチヌ竿に、ハリス1.7号でチヌを
狙っている人もいます。(筏用のチヌ竿でなく柔らかい船竿で釣っている人もいます)
リールだとベイルを起こせばスルスルとイトが出て行くし、釣り始めにゴム管を通してイトを出さなくても
良いし、釣れればリールを巻き上げれば良いので楽です。
又、竿だとカキづるに逃げ込もうとするお魚を、カキから離すのも楽です。
年によって変化しますが、カキの餌で本格的に釣れるのは、水温が下がり餌盗りが少なくなった
1〜2月からです。この頃は水深20m以上で良く釣れます。
気の早い人は10月終わりからかぶせ釣りを行っていますが、餌盗りとの戦いです。
刺し餌が海底に着くまでに、クサフグとかカワハギがカキを食べてしまいます。
2月3月は居着き(移動せずその場所に住み着いた魚)のチヌ・アイナメの大きいのが釣れます。
2月3月で大きいチヌを釣ってしまうので、(魚は大きいのから釣れます)4月のチヌは型が小さくなります。
チヌが乗っこむとチヌの型は大きくなりますが、5月頃にはチヌは浮いているので、かぶせ釣りで
釣るのは難しくなります。その頃、筏上からチヌを狙う鉄砲漁が盛んになります。
その後、チヌが産卵すると、味は落ちるし価格が下がるので、通常、かぶせ釣りは終ります。
一番重要な事は、撒き餌の届いた海底に、刺し餌を降ろす事です。
カキの殻に割れ目を入れた程度で撒いたり、刺し餌に小さい形のカキを選ぶ等、工夫します。
(砕いた撒き餌と、砕かない刺し餌では海底に到達する位置が異なります)
撒き餌を撒くので潮の小さい時に釣れると思いますが、大きい潮に大きいのが釣れます。
大きい潮の場合、イトはふけるし撒き餌も刺し餌も流されるので、かぶせ釣りは難しくなります。
こんな場合、ミチイトを細くして浅い場所とか通常潮が動かない場所を選ぶのも一方法です。

  この釣り方で、大型クーラーボックスに50cm級のチヌを含め、入りきらないので押し込んでいるのを
見た事があります。
こんな時は、釣り天狗
(てんぐ)になるものです。動作もゆったりと、皆に見えるように行動します。
個人的には、沢山釣れても自分の食べる以上に釣るべきでないと考えていますが、釣ってしまいます。
かぶせ用の殻付きカキは3000円も購入すれば、一人分のかぶせ釣りには十分です。
自分で撒き餌のカキ、フジツボ、瀬戸貝を採取すれば、刺し餌用のカキは1000円で十分です。
(カキ業者に聞きましたら、江波でも地御前でも、カキ打ち場に行き、魚を釣るのに用いると言えば、
売ってくれる筈と言ってます。
かぶせ釣りを行っている知人に尋ねると、カキ打ち場で購入するか、近所の魚屋さんに注文していました。
仲良くなった業者からは、カキ殻捨て場で屑ガキを拾いんさいとも言われたそうです。)
昔からかぶせ釣りは難しい、別格だと言われていますが、釣りに熱心なアングラーなら、意外に
簡単なので驚くと思います。是非、次のページを読み、かぶせ釣りを楽しんで下さい。
  なお、カキの養殖業者から聞いたとし、平成14年12月に山口の漁師と名乗りメルアドも明らかにせず、
かぶせ釣りはカキをがめて(盗み)、撒き餌にもカキを何十Kgも撒くと掲示板にカキコがありました。
実際見ていたのなら捕まえていたと思いますので、かぶせ釣りでカキをがめるのと、カキを撒き餌で
何十Kgも撒くと言うのも想像でしょうが、食用にするにしてもカキをがめる
(盗む)行為は犯罪です。
一名の不心得者で、筏への係留禁止、筏上での釣りが禁止されかねません。
竿を用いたかぶせ釣り 
 直線上に配置
カキを潰す道具